第9回Dr. マリが綴る「水ご健康」AtoZ

エナジックインターナショナル顧問
医学博士 上古眞理(じょうこ まり)

株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載

マウスと被験者50人で試した還元水の有効性

肝機能障害と疲労回復に還元水は果たして効くのか?

今回から、いよいよ電解水に関する各種の研究結果を紹介することになります。まずは還元水に関する特徴的な研究を連載し、次いで酸性電解水に移る、といった順番で進めて いく予定です。電解水の安全性も重要な研究 課題ですから、追って取り上げることになります。ともあれ研究テーマは順不同で掲載して いきますので、毎回、バラエティに富んだ、ユニークで興味深い研究結果をお伝えする場となります。どうぞお楽しみに。

マウスを使った実験の結果は?

その手始めは、岡山県岡山市の岡山大学内に 事務局を置く、岡山実験動物研究会という団体が 1997年10月発行の研究会報に掲載した「アルコール長期飲用(6カ月)による肝臓機能ならびに 脂肪代謝への影響に対するアルカリ性水の効用」 というテーマの研究論文です。

ここでいうアルカリ性水とは還元水を指しています。当時、日本では約300万台の整水器が普及していました。還元水の研究成果としては、消化管 内異常発酵の改善といった報告がすでに出されていました。

これに対し、岡山実験動物研究会は、アルコールの飲用による肝臓機能障害や脂肪代謝に与える還元水の影響を検討しています。

マウスを用いた実験の概要は次のとおりです。①水道水だけを飲ませる群、②市販ウイスキーを水道水で濃度10%に希釈して飲ます群、③アルカ リ性水(還元水)を飲ませる群、④市販ウイスキーをアルカリ性水で濃度10%に希釈して飲ませる群、に分けて検討。なお、土曜日から月曜日の夕方 までを“休肝日”に設定しています。

また、②群と④群には夜間のみアルコールを飲ませ、昼間は希釈に用いた水(水道水とアルカリ性水)だけを飲用させました。通常、(人は)アルコールを夜に飲むものだから、ですね。

これを続けて3ヵ月目と6カ月目に、それぞれ臓器の重量、血液中のGPT、GOT、中性脂肪、総コ レステロールなどを測定しました。

その結果は――。マウスは人間のようにアルコールが好きではないようで(?)、夜間にアル コールを飲ませた②群と④群では、明らかに夜間の摂取量が減っていました。

ほかにも面白い結果が得られています。アルカリ性水だけを飲ませた②群は、他の群に比べて餌をよく食べる傾向があったのですが、その割に体重が極端に増えることはありませんでした。

また総コレステロール値を測ると、アルカリ性水で希釈したアルコールを飲んだ④群のマウスの方が、水道水で希釈したアルコールを飲んだ2群のマウスより低い値になりました。

通常、慢性的なアルコール飲用は肝臓に負担がかかり、コレステロール値も高くなる原因になりますが、この実験では、還元水がその影響を抑える可能性が示唆されました。

還元水は「疲労」に効くのか?

次は、千葉大学大学院・人文社会科学研究科が2009年9月に発行した『千葉大学人文社会科学研究』(現在の『人文公共学研究論集』)に載った「日常生活時の体調および心理状況に及ぼすア ルカリイオン水長期摂取の影響」という、たいへん興味深い研究結果です。

これは健常な大学生50人(男女25人ずつ)に4週間、アルカリイオン水(還元水)を毎日1,500ml 飲んでもらい、①体調、②排便・排尿、③睡眠、④身体感覚の4分類(全28項目)のアンケートと、疲 労に関する自覚症状を、摂取前、摂取2週後、摂取4週後に答えてもらって評価したものです。

日本では数々の栄養素について目標摂取量が設定されていますが、水の摂取量については明記されていません(厚生労働省は「あと2杯飲もう」をスローガンに、1日2.5リットルの飲用を成人に勧めていますが)。しかしアメリカやドイツなどでは、国が推奨量を定めています。

この千葉大の研究においても、飲んでもらうアルカリイオン水の量(1,500ml)の設定の根拠については特に言及されていません。また実験がおこなわれた季節についての記載もありません。

そこで結果ですが、アンケートの全項目で判断すると、摂取前と2週後、摂取前と4週後で、スコアは5%レベルの有意な改善が見られています。全28項目のうち、特に12項目が疲労に関係するアンケートでした。結果は、疲れやすい感じが減少し、立ちくらみやけいれんの自覚は5%レベルで改善。イライラ感の減少も見られました。

睡眠に関してはもともと寝つきの悪さなどの自覚 はない人の方が多く、特に変化はありませんが、朝 の目覚めは5%レベルで有意な改善が見られました。また、1%レベルの有意差で身体が軽く感じるようになった、有意さはないが持久力の改善を感じるようになった、という結果も得られました。

2つの実験の限界と問題点

疲労自覚症状調査においても改善が見られました。ただし、この実験は、本人に分からないように還 元水以外の水(プラセボ飲料)を飲ませることで得られるデータと比較していませんし、被験者が揃って一定の生活状況下にないことも推測する上で問題となります。

しかし、アルカリイオン水が身体的、精神的コンディションの改善に有効であると推測されたことは意義があります。その理由として、アルカリイオン水が水道水よりミネラルの含有量が多いからだ、という 考察もされています。ただし、昨今は意識してミネラル分を摂取する人が増えているため、この実験でミネラルの影響について論じるのは難しいと思います。

また、私見では、この実験に参加した大学生が4週間にわたって、意識して多く水を飲むようになったのか、いままで飲んでいた水をアルカリイオン水に変えただけだったのか、という質問があれば、この結果がアルカリイオン水のためか、単に脱水を改善したことで得られたのか、判断ができたのではないかと考えます。

いずれにしろ、紹介した2件の実験は、マウスを使用したり、わずか50人でしかも設定が不十分だったり、という極めて限定されたものです。その結果をすぐ“普遍的に援用”することは許されません。このことを最後に協調しておきます。

参照

「アルコール長期飲用(6カ月)による肝臓機能ならびに脂肪代謝への影響に対するアルカリ性水の効用」

https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ja/20658

「日常生活時の体調および心理状況に及ぼすア ルカリイオン水長期摂取の影響」

http://www.gshpa.chiba-u.jp/content/files/annual/annual2009[1].pdf

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