エナジックインターナショナル顧問
医学博士 上古眞理(じょうこ まり)
株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載
身体の自動調節機能と水のpHとの関係は?
水の電気分解で生成する還元水は
身体の酸性化に何をもたらすのか?
わたしたちの血液のpHは7.4(+0.05)のアルカリ性になっています。そして細胞の中のpHは 7.0で中性に保たれています。
しかし、わたしたちはいろいろな食べ物や水を摂取するので、その代謝の過程で常に酸が作られ ます。身体のpHを一定に保つため、呼吸で炭酸ガスを排出しています。
わたしたちは体がしんどい時に呼吸が早くなるのを経験しています。酸素が足りなくなったためではなく、血液が酸性に傾いていたために元に戻そうと、身体が自然におこなっている場合があります。
また、過呼吸症飲群といって、精神的にストレスや不安を感じた時に無意識に呼吸が増えてしまう病気があります。酷い場合には意識を失ってしまいます。この時、血液のpH値は正常よりもアルカリ性になっています。
■飲み物食べ物のほとんどは酸性
もう一つ重要なのは腎臓です。腎臓は血液をろ過していらないものを尿として排出する機能があります。体が酸性に傾いている時は、尿中にたくさん酸を排出して調節しています。お肉をたくさん食べると尿は酸性に傾き、野菜をたくさん食べるとアルカリ性に傾きます。
それ以外にも肝臓や胃腸が一生懸命頑張って調節しています。わたしたちの体はpHを一定に保つために努力をしているのです。 わたしたちが普段一番目にする水道水は、pH5.8以上8.6以下と決められています。弱酸性から弱アルカリ性までの間ですから、身体はあまり働かなくても良さそうです。
しかし多くの人は水ではなくて何か混ぜたものが大好きです。たとえば100%オレンジジュース。 身体にとても良さそうですが、実はpHは4.0です。 これからの季節に欲しくなる人が多いビールはpH4.3,スポーツドリンクはpH3.8と、どれも酸性です。コーヒーはpH5~6、緑茶はpH6ぐらいです。 わたしたちが普段口にしている食べ物、飲み物には、酸性のものが本当に多いことが分かります。
そこで登場するのが還元水になります。水を電気 分解して陰極側にできるアルカリ性の水です。
このお水は日本では1931年から研究が始まり、1960年には健康に有益な水として、医療に利用されはじめました。そして1965年には当時の厚生者が慢性下痢症、消化不良、胃腸内異常発酵、(胃酸を中和する)、および胃酸過多に有効だと謳って良いと認めました。
天然にも還元水は存在しています。ただし、現代社会のいろいろな汚染に伴い、こういう水は減ってきたと考えられますが一有名なのがフランスのルルドの水、ドイツのノルデナウの水、メキシコのトラコテの水です。日本では日田天領水(大分県)や白山命水(鳥取県)などがあります。
これらの水は別名“奇跡の水”とも言われるもので、その水を飲むと病気の人が元気になるとされて有名になったものです。これらは地下からの河水になりますが、温度が高い所水が温泉です。
日本にはたくさんの温泉があります。そこでアルカリとして認められていた温泉を調べると、中に天然の水素をたくさん含んでいることがわかったところもありました。
■天然の還元水(湧水)の効用とは?
源泉を使っている温泉の中には、浴槽にコップが置いてあって飲んでも良い、としているケースがあります。長野県に旅行した時に、普段、観光客が行かない温泉に連れていってもらったことがあります。地元のお年寄りが銭湯のように使い、飲用もしていましたが、皆さん、お肌はきれいだし、お元気でした。天然の還元水は調べるともっとあるかもしれません。
そうはいっても、残念ながら、ほとんどの人は天然の扱みたての還元水を日常的に使用することはできません。「ここのお水はおいしいから、と汲んで帰って家で飲んでみたらそうでもなかった」という経験をした人がいるかもしれません。保存容器のせいかもしれないし、湧水などの近くで気分が高揚していた影響かもしれない。または、みたての水に含まれていた成分が抜けてしまったためかもしれません。
地下にあって地表に出てくるのが水ですから、空気に触れた途端に酸化が始まります。整水器で水道水を電気分解して作る還元水は、出てきたばかりの水にたとえることができます。
水道水の味がまずく感じる一番の要因は、塩素や配管の錆などですが、それを取り除いた後の味に大きく関与しているのがミネラルの量です。これは原水がどのような水かによって決まります。日本は土壌にミネラル分が少ないために軟水が多いのですが、沖縄のように硬水に近い水のところもあります。どの水をおいしく感じるか、というのは育った環境も影響しています。
■還元水はなぜ胃腸症状に効く?
還元水というのはどのように作られているのでしょうか。簡単に説明しましょう。
水道水に含まれている塩素などの物質を除き、浄水にした後に電気分解をして酸化還元反応を起こさせます。酸化側(陽極またはプラス極)には酸素と水素イオンが含まれています。そして還元側(陰極またはマイナス極)には水素と水酸化イオンが含まれています。同時にミネラル成分も含まれていますから、元の水よりも濃度としては多くなります。
酸化というのは錆びること、それがつまり身体の老化です。還元は元に戻すこと、よく聞くアンチエイジングですね。身体はpHのバランスだけでなく、この酸化、還元についてもバランスを取るように働いています。
酸化している水より還元している水の方が身体 に良さそうだ、ということは、なんとなくわかると思います。しかし、なんで胃腸症状の改善につながるのだろう、と疑問に思われるかもしれません。この点を巡って、これまでいろいろな研究がなされてきました。それについては次同以降、お話をしていきます。