Dr.マリが綴る『水と健康』AtoZ Vol.3

エナジックインターナショナル顧問
医学博士 上古眞理(じょうこ まり)

株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載

脳と筋肉の75%が水!

脱水が招く怖い症状

こむら返りも肩こりも水不足が原因、放置すると認知症の怖れも

前回は、慢性的脱水で起こるいろいろな症状についてお話をしました。では水を飲んで脱水状態を改善すると、その症状は良くなるのでしょうか。 答えは半分正解、半分不正解です。

足りないものを補うと元に戻るという意味では正解。これは、水が足りなくて萎れている植物に水をやると生き生きしてくるのと同じです。でも長い間水やりをしないと、いくら水やりをしても元に戻らなくなりますね。

わたしたちの身体も同じです。水分が足りず萎れると、さまざまな症状を感じます。たとえば関節が萎れると硬くなって動きにくくなったり、さらに進むと痛みとして感じたりします。そこで水分を十 分に摂ると、身体が元に戻る――すなわち若返りにつながりますね。

しかし長い間萎れていると、関節の間が狭くなり骨も痛んでしまいます。そうなったら水を飲んでも元に戻ることはできなくなります。

肌(スキン)の場合はどうでしょうか。お風呂に入っている時は本当に瑞々しいのですが、お風呂から上がって水気をとったら突っ張り、カサカサとしてきますよね。

水を十分に飲むとカサカサは治りますが、残念ながら赤ちゃんの肌には戻りません。肌の約80% は水ですから、水分の多寡による違いがあらわれやすいのです。

それでは筋肉が萎れるとどうなるでしょうか。も ともと筋肉の水分は75%もありますが、不足すると筋肉が細くなって身体を支えるのが難しくなります。背中が曲がって歩幅が狭くなり、足も引きずりがちになります。いわゆるサルコペニア(「水のコラム」参照)の状態になります。

夜中に痛みで飛び起きる、あの腓返りの原因の一つも脱水です。また、筋肉が固くなってしまった 状態が肩こりであり、頭痛の原因にもなります。固くなる原因は血の巡りが悪くなることで、その原因の一つが脱水です。したがって、デスクワークなどで肩が凝って頭が痛くなる前に、こまめに水(もちろん還元水!)を飲んでストレッチをすると良いでしょう。

■脳の省エネモードは危険!

身体の水不足というのは、スマホの省エネモードと同じようなものです。このモードに設定すると、 メールを受け取るのもダウンロードするのも時間がかかりますね。人間にたとえると、物事を理解して処理する速度が遅くなるということです。 若い頃は瞬時に覚えることは得意だけれども、加齢とともに苦手になるといわれています。しかしその年齢分、たくさんの情報が脳に刻み込まれています。それをちゃんと取り出して使うためには、脳細胞がしっかり働く必要があります。

一方、手足と同じで脳も使わないと衰えてきます。毎日、同じ道、同じ路線、同じ駅を通って通勤しているだけでは、脳は省エネモードで働いてしま います。

省エネモードを解除しようとしても、エネルギーが足りなければできません。その大切な要素が水です。何しろ、筋肉と同様に、脳の75%は水なのですから。

■水不足は脳梗塞の一因にも

脳梗塞というのは、脳の血管が詰まって脳の機能の一部が働かなくなる病気です。半身が麻痺して動かなくなる、痺れる、呂律が回りにくくなる、言葉がうまく出てこない、などいろいろな症状が出ます。

すぐに病院で治療をし、その後にリハビリをしても症状が残る人がたくさんいる病気です。場合に よっては小さな血管が詰まっても、症状が出ないことさえあります。

物忘れがひどいからと病院で検査を受けたら、 「脳梗塞の跡がたくさんありますよ。それが原因で 認知症を発症したのです」といわれることもあります。その脳梗塞の原因の一つが脱水です。

脳梗塞がなくても、アルツハイマー型などの認知症になることがあります。その原因の一つがやはり脱水なのです。やっかいなことに、認知症になると水を飲まないといけないことも忘れてしまうかもしれませんから、悪循環になりかねません。

脳の75%を占める水がいかに大事か、分かっていただけたでしょうか。

コラム/水のアラカルト

サルコペニアとは?

さて皆さん、ふくらはぎの一番太い部分を測ってみてください。男性で34cm未満、女性で33cm未満だったら、あなたはサルコペニアの可能性があります。

サルコペニアとは、加齢や病気で筋肉量が減少して全身の筋力低下が起こることを指しています。

ギリシャ語で筋肉のことをサルコ、喪失のことをペニアと言います。この二つの言葉を合わせて作られたのがサルコペニアです。

作られる筋肉よりも減少する筋肉が多くなることが原因です。筋肉の中に脂肪が含まれて、いわゆる“霜降り”になっていると、サルコペニアになりやすい、ということが最近わかってきました。

原因は加齢、活動量の低下、病気、栄養不足です。超高齢社会を迎え、サルコペニア非常に注目される言葉になりました。健康寿命を少しでも延ばすためには、サルコペニアを予防することが必要になります。

略歴

医学博士 上古眞理(じょうこ まり)
(株)Peak Health Energy代表取締役
1990年滋賀医科大学卒業
同大内科医局の研修を経て93年同大医学部大学院に進み96年医学博士号取得
98年4月より2017年12月まで京都岡本記念病院に勤務
18年1月より19年12月まで彦根市立病院勤務
専門は神経内科
滋賀県在住

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