エナジックインターナショナル顧問
医学博士 上古眞理(じょうこ まり)
株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載
還元水は歯の酸蝕症を防ぐ効果がある?
酸性飲食物を摂取した口腔内は還元水飲用でどう変化するのか?
わたしたちが普段食べている食べ物や飲み物の影響で歯の酸蝕症が起こることがあります。還元水がこの酸蝕症の予防に効果的だという報告があったので紹介してみましょう。
そもそも酸蝕症とは、胃酸や酸性の飲食物によって歯が溶ける症状を指します。以前は酸性ガスを吸うことで起こる職業病として知られていたのですが、最近は、虫歯、歯周期についで多く、“歯の生活習慣病”として注目されています。
■酸蝕症をもたらす飲食物
ところで一般的に飲料として売っているものの大半が、エナメル質界(エナメル質を溶かし始める)のpH5.5を下回っているとされています。つまり酸性です。
たとえばコーラはpH2.2、スポーツドリンクはpH3.3、ヨーグルトドリンクはpH3.9 オレンジジュースはpH3.7です。アルコール類は銘柄によって差がありますが、日本酒が pH4.2~4.7、ワインはpH3.0~3.5、ビール はpH4~5です。
また食べ物では柑橘類やそれに関わる調味料なども酸性のものがたくさんあります。たとえばポン酢はpH3.4~3.8、味噌はpH4.9 ~5.1、醤油はpH4.7~5.1といった具合です(数値は東京医科科大学・非常勤講師の北迫勇一氏による)。
酸蝕症の原因として一番多いのが、このような酸性飲食物の摂り過ぎだと言われています。
2015年に実施された東京医科科大学による疫学調査では、酸蝕症の罹患率は26.1%でした。そこでは欧州7カ国の罹患率が29%だったと いう調査結果も紹介されています。
酸蝕症は人一倍健康に注意していても罹る場合があります。たとえば、健康のためにお酢を朝晩飲んでいて発症した、とか、ビタミンCの補給のためにグレープフルーツを毎日二つ食べていたことが原因で発症した、という例も紹介されています。
具体的にはどんな症状が出るのでしょうか。歯が溶けることで歯が透き通ってきたり、丸みを帯びてきたりします。さらに進行すると、冷たい水が沁みたり、モノを噛んだ時に痛みが出たりします。歯の詰め物やかぶせたものが取れたり、歯の表面に小さな凹みができたりすることもあります。
予防するにはどうしたら良いのでしょう。酸性のものを長い間口の中に入れておかない。食べたすぐ後に歯を磨かない。寝る前の飲食は控える。pH を調整する役割がある唾液を出すようにする、といったことが推奨されています。
■東海大学の研究結果を検証
次にアメリカの学術雑誌『Nutrients』(2021年発行)に掲載された東海大学の研究論文を紹介してみます。還元水が飲食による酸性症の発症予防になるという内容です。
酸によってエナメル質からリンやカルシウムが溶け出すことを「脱灰」と言います。歯の表面のエナメル質も酸性の飲食物の影響を受けますが、唾液の持つ中和力によって徐々にpHが中性に戻ります。そこでこの研究では、エナメル質の表面のpHを持続的に測定できる機械を活用し、各種の飲料を飲んでもらってから、水道水と還元水を飲用してもらい、それぞれがpHに与える影響を調べました。
まず被験者5人の安静時のデータとして、昼食後に歯磨きをし、3時間後に歯のエナメル質の表面のpHを5分間連続測定して平均値を取ったところpH5.2~5.9でした。
この後、50mlのコーラ(pH2.2)を口に含んでから飲み込むと、pHは3.1~3.3に下がりました。 その後、6〜8分かけて徐々にpHは上がり、おおよそpH7になりました。
■還元水と水道水の”還元効果”比べ
その後、再度50mlのコーラを口に含んでから飲んでもらい、pHが最低になったところで還元水を 50ml飲んだところ、10~20秒後にpHはおおよそ7になり一定しました。還元水の代わりに水道水で同じ実験をすると、pHが戻るのに9~12分かかったのです。
次にスポーツドリンク(pH3.3)を使って同じ実験をおこなったところ、飲んだ時にはpH3.5~3.9に低 下したものの、還元水飲用で15~20秒後にはおおよそpH7に上昇しました。同じく水道水飲用では、 pH7に戻るのに12~15分もかかりました。
通常、酸性の飲料を飲んでエナメル質表面のpHが下がっても、唾液の作用で級やかに中性に戻ります。しかし実験では、中性に戻す時間は、水道水の飲 用では10分以上かかり、還元水の飲用なら20秒足らすぐ済むことが分かりました。
以前の研究で、還元水はだけでなく口腔内のフローラを改善する効果があることが認められていま す。そこで大学の報告では、還元水は酸 丘の防だけでなく、山門アローラが関連する疾患のリスク低減にも関与するのではないか、としています。
それだけでなく、この報告は、酸性の飲食物を取った時は十分量の還元水を用取することを勧めます、という文章で締めくくっています。
スポーツドリンクを人一倍飲用する、とされているスポーツ選手は、酸蝕症になりやすいと言われています。
その証拠にイギリスの学術雑誌「British Journal of Sports Medicine (2013. Vol17) は、2012年のロンドンオリンピックで歯科クリニックを受診した選手302人について調査をおこなったところ、45%の手が酸蝕症だったとされていま
わたしは手にスポーツドリンク、片手に還元水を持って、うまく摂取していくのがいいのではないかと思います。