第26回Dr. マリが綴る「水ご健康」AtoZ

エナジックインターナショナル顧問
医学博士 上古眞理(じょうこ まり)

株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載

アルカリ水と非アルカリ水どちらが身体に良い?!

高齢女性に飲用比較してもらった

マレーシアの研究結果を紹介!

関西では毎年1月末から2月初めが一番寒い時期になるのですが、 今年はまさにその時期に大寒波がやってきました。 おかげで、 滋賀県草津市在住のわたしは久しぶりに雪道の運転をする羽目に陥りました。 イヤハヤ。

こんな時期はやはり温かい飲み物を飲まないと身体がなかなか温まりません。 胃腸が冷えると機能も低下してしまいます。 いくら還元水で胃腸症状が改善すると言っても、冷たい還元水をがぶ飲みしたら本末転倒になりかねませんね。

ところでつい先日、年配の方が「水を飲んでもらうのは難しい、温かいものじゃないと」 と話していました。 特に還元水は出来立てのものを飲みたいのですが、 この時期の水道水はすごく冷たいですよね。 だから出来立ての還元水も当然、冷たい。ですから温めて飲用してみてはいかがでしょうか。

ちなみに白湯、そしてお茶やコーヒーに使ったりお料理に使ったりした場合でも、還元水のpHに多少の変化はあるものの、酸化還元電位(ORP)は問題なく維持できています。

改めてORPについて説明しますと、これは水中に含まれるマイナス電子の量を数値化したものです。この量が多ければ多いほど抗酸化力 (還元力)が強く、少ないほど酸化力が強いとされています。 レベラックが作り出す還元水のマイナス電子の量は多く、抗酸化力が強いことは確認されています。

ちなみに汲んでから数時間経っているペットボトルの中のpH9.5の還元水のpHはほぼ変わりありません。寒い時期に無理して汲みたての冷たい還元水を飲むのではなく、自分の体調に合わせて調節するのが良いと思います。

さて今回は、寒さとは無縁なマレーシアの研究結果の紹介をしてみます。

それは、アルカリ性水を使って閉経後の女性のメタボリックシンドロームのリスク、 睡眠の質、 筋力との関連性などを調べたものです(論文掲載誌は『PLOS ONE』 2022年10月31日号)。

タイトルは「アルカリ性水のメタボリックの危険性、睡眠の質、筋力との関連性一閉経後の女性を対象にした横断的研究」で、 マレーシアの大学と研究所による多施設研究です。

被験者は平均年齢68歳の女性

マレーシアは熱帯地方で水が豊富にあるところですが、最近では水源の汚染が問題となり、 50~85%の家庭で浄水器が設置されていると報告されています。

今回は浄水にミネラルを添加して弱アルカリ性にした水を使っての研究報告になります。

女性は更年期になると女性ホルモンの減少に伴い、いろいろな症状が出ることはよく知られています。 しかし実は、 女性ホルモンには生活習慣病から守ってくれる役割もあるため、そのうちの1種類がなくなるだけでも、様々な病気にかかりやすくなります。

研究では、閉経後5年以上が経過しホルモン療法の経験がなく、 かつ重篤な疾患のない人を対象としました。

この対象者を、アルカリ性の水を2カ月以上1日1L以上飲んでいる148名と非アルカリ性の水を同量飲んでいる156名に分け、下記のような項目について比較調査をしました。

それは、血圧、身長、体重、 ウエスト、ヒップのサイズ、血液検査 (空腹時血糖値、中性脂肪、 総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、そして睡眠の質や睡眠障害の症状を評価するために開発された「ピッツバーグ睡眠質指数」 など多岐にわたりました。

それだけでなく、利き手の握力検査、 食事摂取量やその質も比較しました。 参加者の平均年齢は68歳です。

睡眠時間に有意の差が

研究結果の中から、興味深いものを紹介し、日本の現状と比較してみましょう。 まず握力ですが、アルカリ性水を飲んでいた人は20.8±2.8kgで、非アルカリ性水の飲用者は15.5±4.1kgとかなり差がありました。 しかしいずれにせよ筋力低下が著しい数字になっています。

身体活動の評価では中等度以上の活動をしている人はどちらもゼロでした。ちなみに日本人の場合、2015年のデータでは65~69歳の女性の平均握力は25.2kgです (スポーツ庁が体力、運動能力調査結果として公表しているデータより)。

実験対象者で驚いたのは睡眠時間です。全体の平均が304±67分、つまり5時間程度なのです。 明らかな睡眠不足です。

しかしアルカリ性水を飲んでいる人の睡眠時間は334±62分で、 非アルカリ水を飲んでいる人は275±59分とかなりの差がありました。

睡眠時間をとってみても5時間以下の人は前者が32.4%、後者は57.1%と差があり、6時間以上取れている人は前者が17.6%、後者は9.6%とやはり差が出ました。

こうみると、睡眠の質において、アルカリ性水を飲んでいる人の方が有意に高い結果が得られています。

アルカリ性の優位性を証明

睡眠については本誌2021年10月号で大阪市立大学の研究を紹介しました。 それは、還元水を飲用した被験者は浄水の飲用者より熟睡感を得られる人が多かった、という結果でしたが、マレーシアのこの研究ほど詳細に評価はされていませんでした。

ちなみに2018年の政府統計(国民健康・栄養調査) によると、 60-69歳の女性の睡眠時間は5時間未満が6.5%、5時間以上6時間未満が33.6%、6時間以上7時間未満が40.6%となっています。

なお睡眠時間に関して日本は先進諸国の中で最下位の睡眠不足国です。

2019年のOECD(経済協力開発機構)の統計によると、1日のうち睡眠に費やす平均時間は米国528分、フランス513分、中国542分など500分を超える国が多かったのに対し、日本は442分と最低水準です。

マレーシアの研究のそのほかの結果では、被験者の47.7%がメタボリックシンドロームの基準を満たしていました。 しかしアルカリ性水を飲んでいる人は41.2%で、非アルカリ性水を飲んでいる人は53.8%と差が見られました。 以上、電気分解で得られたのではない弱アルカリ性水を使った実験を見てきましたが、ここでもアルカリ性の持つ比較優位性を証明する結果が示されたといえます。